議案94号南あわじ市温浴施設条例の制定についての討論

 

この条例は市内にある3つの温浴施設の管理・運営を一つの条例にまとめることを定めようとするものです。3つの施設とは、旧西淡地区にありますゆとりっくクアハウス、旧三原のさんゆー館、旧南淡のゆーぷるのことです。旧西淡のゆとりっくは小売り商業の振興に役立てる施設として作られ、他の2施設は健康福祉を増進する施設として建設されました。健康福祉を目的とする施設を健康福祉課が管理運営の担当をするというのは自然なものですが、今回の条例では、商業振興を目的とするゆとりっくの管理運営までも健康福祉部に任せ、健康福祉部に商業振興を担わせることになってしまいます。 健康福祉部が商業振興、とりわけ旧西淡地区の商業や観光業の振興にどのように責任を果たせるのか、そのようなことは本来できるはずのないことをさもできるように装い、商業振興の手だてについて全く何の説明もされていません。3施設は類似した施設として取り扱われようとしているわけですが、そうしたやり方は少し乱暴で、その設立の一番大切な目的を見失わせるものであります。この条例制定を認めれば、その結果として、旧西淡地区の商業の実態、苦しい経済環境の中でシーパ等で営業をしている事業者の足を引っ張るようなものになってしまう可能性が極めて高いものになってしまいます。

 このゆとりっくを国、県は健康増進施設として、認可を与えていません。商業振興施設としての認可を与えているのです。その設立の経過を見れば明らかです。

 現在の南あわじ産業振興協会は、最初は西淡健康推進財団として出発し、「西淡町住民の健康管理意識の高揚を図るため、広く健康に関する啓発活動及び指導事業と健康増進施設の整備を行い、もって住民の健康と福祉の向上に寄与すること」を目的として活動し、「健康増進施設」としての温浴施設建設を計画しましたが、経営診断及び財団法人の所管課の指導のもとに「小売り商業などの振興及び、地域の活性化を図るため、小売り商業及び地場産業の振興並びに産業振興施設の管理運営などを行う」法人として設立目的が変更され、西淡産業振興協会として設立され、その設立目的達成のために、ゆとりっくが建設されたのです。従って、国や県の予算も、中小企業、小売業を振興させる予算から、ゆとりっくに支出がされているのであって、健康福祉、厚生労働省の予算から支出されているものはありません。

 かつて国、県によって否定された「健康増進施設」を今回の条例制定によって復活させようとしていますが、そもそもそうした復活が認められるものでないことから、工夫を凝らし、「財団」の存続という裏技を見せていますが、この財団の存続も、事実上財団がペーパーカンパニー化するものであり、その商業振興に寄与するという財団の目的、機能をほぼ失うものとなっています。さらに、財団を形式的に存続させ、財団をいわば空箱にしながら温浴施設を財団から取り上げるような手法を持って施設の「貸借契約」を市が結びました。その「貸借契約」では、第4条で施設を「小売商業等産業の振興及び地域の活性化を図ること目的とする「ゆとりっく」施設としての用途に供す」べき事が定められているのに、今回の管理条例では一番大事な小売商業など産業の振興という目的が削られてしまっているのです。財団との契約書では、商業振興に使いますと言いながら、実際には健康増進に使いますという条例を制定するのは、「空箱」にした財団とはいえ、財団との間の契約に対する違反とならないのでしょうか。こうした手法を、国や県、また、会計検査院が認めるとはとうてい思えないのであります。今後、国や県の姿勢、考え方を問いかけてみたいと思います。

 予算執行のために財団を作り、ほとぼりがさめたら紙の上だけの組織にしてしまい、施設の使用目的を変更する、それは通る話でしょうか、とうてい認められるものとは思えません。

 なぜ、このような裏技、綱渡りのような手法を強引にとらなければならないのでしょうか。

 今回の指定管理を想定した条例の制定は、まず、指定管理するべき団体があって、民間の事業者といっても良いのですが、その事業者に指定管理を委ねやすいように環境整備を行い、大変な労力を費やしているように映ります。特定の業者を想定しているかのような今回の条例制定は、大変無理があります。ある業者の便宜を図るために、西淡地域にある小売商業者の利益を損なうようなことになるのであれば決して認められるものではありません。今回提起されている料金体系をみれば、ゆーぷる指定管理者である、アクアプロの意向をくんだものになっています。その結果、会員制度の廃止も視野に入れられています。市民の間からは、年間パスポートや年間会員制を継続してほしいという声が強まっています。パスポートや年間会員制の廃止は、利用者の減少に結びつき、利用者にとってはとりわけ高齢者にとっては打撃の大きいものであります。ゆとりっくでは温水プール施設との共用部分があり、指定管理者が違えば案分が必要になりますが、その基準は明確でなく、案分しないですむようにプールとの同一の指定管理者を望むというのは理解しがたい話です。

 民間が行えばすべて正しく行政が行えばすべて非効率で悪のように考えているのではないでしょうか。このような考えを認めることは、行政の自殺行為とも言うべきものになってしまいます。3施設はそれぞれ目的や特徴の違う施設であり、その目的に沿ってそれぞれが競争しサービスの内容を工夫し経営努力をするように指導する努力が行政に求められているのであって、その努力を怠って安易にひとくくりにし、料金体系だけをそろえるというのは無理があり、特定の業者の利益に道を開くような条例化は認められません。

 ゆとりっくでは、民宿業者ともタイアップして割引券を発行し、ゆとりっく、民宿業者、利用者それぞれにメリットのある努力もされています。地域外の利用者であっても、地域の商業、産業、観光業振興に役立っていることは誰も否定できないものであります。今後はシーパとの連携、協力体制を強めながらさらなる商業振興の事業、施策の努力を行うことが大事なのであって投げ出すようなことをしてはいけないのであります。プールの利用者を増やせばそれで良いというのではなく、プールの利用者をシーパやその他の商業、観光施設に呼び込む努力が必要となってきます。そのような商業、観光、そして産業振興の課題を、教育部に委ねられるのでしょうか。このままでは、産業振興部の任務放棄、責任放棄とならないでしょうか。そのような任務放棄を市民は願っているとは思えません。

 行政は、それぞれの業者の垣根を越え、国や県の制度事業も活用し、あらゆる関係者の公益と福祉を図る立場と責務があります。それができるのは行政だけであります。その責務を投げ出すようなことになってはならないと考えます。

 以上の理由から、今回の条例制定については決して認められないことを強く表明し、討論といたします。議員の皆様には、以上の理由を受け止めいただき、賛同をいただきますようお願いいたします。

 2007/06/22